岐阜の金神社からさらに商店街へ向かうと、「たぬしそば専門店」というお店をみつけた。
私は子供の頃、力うどんが好きだった。建築をやっていた父とその経理をやっていた母のため、母の夕食の準備が間に合わず、てんやものをとることがままあった。近所の蕎麦屋に出前で届けてもらっていた。力うどんが家に届くと、揚げ玉とおもちがちょうどいいあんばいにふやけている。私の口の中で、揚げ玉とおもちとうどんとつゆの絶妙なハーモニーとなったのだ。なので、あげ玉は私の好物である。
その揚げ玉が入っているたぬきそばだ。とても気になった。だが、お店はお休みのようであった。なんでこんなところにたぬきそば専門店があるのだろう、と不思議に思った。
夜、妻の実家で夕ご飯どき。テレビを観ていると、ちょうど「冷やしたぬきそば」なるものを紹介していた。なんでも、岐阜では冷やしたぬきそばが名物なのだそうだ。そのむかしの岐阜は、繊維で賑わっていた街だ。冷やした麺と濃いつゆと揚げ玉が、暑い夏の一日の締めくくりにちょうどよかったのかもしれない。
次の日、イオンに行くと冷やしたぬきそばが売っていた。早速買って、その日の昼時に食す。まあ、そんなものかという感じであった。作り置きではその良さが伝わらないのだろう。おうちで作って食べたり、一杯飲んだ後にお店で食べるのがよさそうだ。
甥っ子、姪っ子は冷やしたぬきそばが名物とは知らなかったが、さすが妻の母は知っていた。
来年の夏、妻の実家に旅行に行ければ、また冷やしたぬきそばのことを思い出すだろう。
