50代になり、さすがに若いとはいえなくなった。身体もどこかしら不調も出てくる。父の死にも接し、残りの人生についても考えるようになった。あと、何年元気でいられるだろうか。
書店で、池波正太郎著「男の作法」を手に取った。
50年以上生きてきたなか、知らないことも多い。寿司屋や蕎麦屋なんかほとんどいっていない。著者の流儀から、何か学べることがあるのだろうか。
私が好きな下りは、こんな言葉だ。
「コップに三分の一くらい注いで、
飲んじゃ入れ、
飲んじゃ入れして飲むのが、
ビールの本当にうまい
飲み方なんですよ」
そうなのだ。飲み会で瓶ビールになると、つぎつ、つがれつ、になる。飲みかけのコップに、ビールを注がれる。私はそれが苦手だ。
だから、飲みかけの人にビールを注ぐことはできるだけ避ける。だが、飲みかけのコップに注がれそうになるのを断るのは難しい。親しい人ならばはっきりと断れるが、上司や微妙な距離感の同僚や友人に対しては、なかなかそうもいかない。
まあ、そういうことはプライベートのときだけにしたら、ということなのだろうけれど。
あと、著者がニースへ旅行へ行ったときの話も印象に残っている。レストランで、シャンパンに合う肴を頼んだところ、
「ポテトフライがシャンパンの肴には一番です」
とのことで、熱いスティック状のポテトフライが出てきだそうだ。ポテトフライとは意外だ。私なら、チキンとか、チーズとかを思い浮かべる。海鮮系の前菜でもいいかもしれない。マリネのような。
そう、酒好きなので、酒にからむ随筆に興味がいく。
家族や気の合う仲間と、美味しい食事とお酒を楽しみたい。
謙虚でちょっと気の利いた、そんな男になりたい。
バブルが弾けてから、男の元気がなくなったような気がする。なんだか、ちょっとしたことを大騒ぎするニュースが飛び交い、ヒステリックな世の中になっている。
日経平均が示すように、企業の業績は好調だ。それが賃金に反映されているかというと、まだまだかもしれない。だけど、失われた30年の頃のように自信をなくしていた日本とは、少し違ってきているようにも思う。
鷹揚で、懐の深い人間でありたい。失敗を糾弾するのではなく、許し、改善していける人間でありたい。
「男の作法」はそんな自分の気分に合う本だ。
