本書を読んだ感想をまとめてみた。
習近平政権が進めたゼロコロナ政策の影響は大きく、自由を奪われた人々が海外へ移住する人が増えているとのことである。
日本にも、こうした背景をもつ中国人が数多く暮らすようになり、不動産市場を含む社会のさまざまな分野で存在感が高まっている。
そのため、もはや単に「中国政府の振る舞いが気に入らない」といった単純な構図では語れない状況になってきた。個々の人々のおかれた環境や、移住を選んだ理由は多様であり、その背景を理解しなければ、現実を見誤ってしまう。
一方で「台湾有事」をめぐる発言をきっかけとして日中関係が緊張しているのも事実だ。それが、”潤日”の動きにどのような影響を与えるかは不透明である。しかし、少なくとも強権的な政治状況を避けて海外へ活路を求める流れは当面続くだろう。
だからこそ、”潤日”の人々との対話が欠かせないと感じる。彼らの背景を知り、実際に話を聞くことで、偏見を少しでも取り除いていきたい。本書はその必要性を強く意識させてくれる一冊だった。
