7月17日木曜日 お疲れ生でした

 ふう、今日も一日が終わる。
雲の切れ間から陽が差し、夏らしい青空が広がった。
久しぶりに汗ばむ陽気に、季節のめぐりを感じる。

もうすぐ8月。
コロナ禍を除けば、毎年この時期は妻の実家がある愛知県へ向かっていた。
その滞在中、私は決まって岐阜の柳ヶ瀬をひとり、ぶらりと歩くのが常だった。

かつては繊維の町として賑わった柳ヶ瀬。
今では大きなアーケードも、シャッターの閉まった商店も、往時の面影を静かに残している。
それがどこか、私の故郷・阿佐ヶ谷を思い出させる。
パールセンターを中心に広がる商店街――。規模は柳ヶ瀬には及ばないけれど、
青梅街道から駅まで続くあの通りには、今も昭和の香りが漂っている。

だからだろうか。
柳ヶ瀬を歩いていると、子どもの頃の記憶がふっとよみがえる。
懐かしく、切ないような、あたたかい気持ちになる。

シャッターが閉まった店が目立つ中、ぽつりぽつりと営業している店もある。
時代に埋もれず、ひっそりと個性を放つ場所たち。
中でも印象に残っているのは、「ロイヤル劇場」。
昭和の映画を専門に上映していて、確か600円ほどで観られたはずだ。

最前列の真ん中に腰を下ろし、スクリーンを見上げる。
ポップコーンを頬張りながら、懐かしい映画の世界に身をゆだねる。
そのひとときは、まるで時間が巻き戻ったかのようだった。

時には、自転車でぶらぶらと川沿いを走る。
長良川の支流にそって流れる澄んだ水。
昔は期間限定でお化け屋敷もあったけれど、今はもうやっていないようだ。

柳ヶ瀬の一角にある玉宮通りには、飲み屋が軒を連ねている。
店先のアルミのタライにはドジョウが泳ぎ、それを唐揚げにしてくれるのだとか。
まだ入ったことはないけれど、いつか一杯やってみたい場所だ。

それから、娘と同じ名前の小料理屋があって、
昼どきにはランチを出している。何度か足を運んだこともあるが、
昨年ひさしぶりに訪れたら、お店のご主人が「覚えてますよ」と言ってくれた。
うろ覚えでも、覚えていてくれたことが、なんだか嬉しかった。

今年の夏は、息子の受験があるので、愛知には行けそうにない。
少し寂しいけれど、来年こそはまた家族そろって、
あの懐かしい風景に会いに行けたらと思う。

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