柳ヶ瀬と阿佐ヶ谷

三連休の最終日。あー、もう終わりかーとなる日である。

 午前中は畑仕事をしたあと、夕方に妻と阿佐ヶ谷へ行った。妻はカルディに行きたかったようだが、私は特に用事もなく、本屋をはしごするぐらいだ。

 阿佐ヶ谷の八重洲ブックセンターで、「ビギナーズクラシックス 日本の古典 枕草子」という文庫本を買った。現代語訳や解説がついている。税抜680円という手頃な値段もあり、つい買ってしまった。そう、阿佐ヶ谷の本屋の火を消さないためにも、たまには本屋で本を買わないとね。

 先日、阿佐ヶ谷の古本屋さんで「枕草子」を買ったが、やっぱり難しい。

 古文初心者の私としては、ビギナーズから入った方が良さそうである。

 そのあとカルディへ行く。妻がカルディで買い物している間、阿佐ヶ谷パールセンターをぶらぶら歩く。人通りは多いけれど、商店街の中ではチェーン店に人が集まり、個人商店に入る人は少ない。パールセンターを通り道のように、せかせかと歩く人も多い。

 着物屋さんの前に、印鑑を売る回転棚が置いてある。三文判の印鑑である。値段は250円。誰が買うのだろうか。今どき100円ショップでも売っている。買うつもりはないが、自分の苗字があるか見てみる。ない。250円という値段は柘植なのか。……わからない。安物のプラスチックの印鑑もある。

 酒屋さんの前を通る。変わったお酒がありそうだ。お店の人がサーバーのビールを勧めてくれる。もともと飲む気はなかったが、一杯800円だそう。希少なビールなのだろうが、800円では飲む気がしない。お店の中に入れば、変わったお酒は買えるかもしれない。また今度ね。

 昔通った床屋さんはシャッターが閉まっていた。もうやっていないのかもしれない。

 昔、阪急共栄ストアだった店舗は、今は聞いたこともない名前のスーパーになっていた。お店の前にあるジャガイモには「三方原男爵芋」とある。あの三方原か。古戦場の。原というから、作物もよく育つのだろう。川も多いしね。

 ふと、気づいたことがある。私は岐阜の柳ヶ瀬の街が好きだ。妻の実家に帰るときは、いつも柳ヶ瀬の街へ行く。

 あのシャッター街と、その中で頑張っているお店のグラデーションが、なんか好きだ。

 子供の頃の阿佐ヶ谷パールセンターの思い出が、柳ヶ瀬の街と重なるのだろう。そうか、そういうことだったのか。

 なんとなく気づいていたが、パールセンターをぶらぶら歩いて、よくわかった。

 柳ヶ瀬の街は遠いので気軽には行けないけれど、たまには阿佐ヶ谷パールセンターをぶらぶらしてみると、郷愁に浸れるのかもしれない。

 高円寺の商店街はあまり馴染みがないけれど、面白そうなお店がたくさんありそうで、そっちにも足を伸ばしてみたい。

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