2025年10月25日土曜日付朝日新聞の書評欄を読んで気になった本を書き留めた。
一冊目は、佐々木愛著「じゃないほうの歌い方」(文藝春秋・1,980円)
書評の表題は「たったひとつの冴えないやり方」とある。書評のなかで印象に残った文章を以下に書いてみる。
「それぞれの章で描かれているのは、「じゃないほう」にいる人々の日々だ。ジョブズじゃないほう、片思いの相手じゃないほう、矢沢永吉じゃないほう・・・。どの短編も、滑らかな化繊ではなく、洗い込んだ木綿のような風合いで、だからこそ、読み進めるほどに心に馴染んでくる。「じゃないほう」を生きる私たちのなんて切実で、素敵な、冴えないやり方なんだろう。」
私も「じゃないほう」だ。出世には全く見放された会社員人生。努力が必ず報われるわけではない。それでも、自分が行きたい道を行く。もがき続ける。自分を磨く。これは続けていきたい。「じゃないほう」の人生を送る自分への応援歌だ。
二冊目は、石原良純著「石原家の人々」(新潮社・1,980円)
石原慎太郎という大きくて破天荒な父を持った石原家4兄弟の思い出が綴られている。
書評によれば、良純さんは、実は4人が微妙に異なる父の姿を見ていたことに今回気づいた。「男兄弟のうちで親との会話の中身なんて話さないじゃない。兄貴しか、弟しか知らない親父やお袋がいた」と。
とても興味深い気づきだ。私も3兄弟で兄と姉がいる。私は末っ子だ。父と母も、私たち兄弟に対して接し方はそれぞれ違っただろう。兄は兄弟の長として接していたろうし、姉は女の子として接していただろう。
兄弟で、両親の話をじっくりしたことがない。父も今年越せるかどうかの体調だ。父の残りの時間を、兄弟で語り合いながら静かに振り返ってみたい。
