日経新聞の書評欄から

2025年11月22日付日経新聞の書評欄を読んで気になった本を書き留めた。

◇一冊目

井上正也ほか編「タブーを破った外交官 田中均 回顧録」(岩波書店・3,190円)

本書は外務省北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官などを歴任した外交官である田中均氏のオーラルヒストリー。日朝平壌宣言や日米安保「再定義」、韓国との歴史問題など、冷戦終結後に日本が直面してきた外交課題に外交官として向き合ってきた田中氏が、今後の日本の外交の提言を行っているという。

書評には、「田中氏は米国に対して知恵をもって自律的外交を展開する重要性を説いている」と述べている。

トランプ政権との関係や台湾問題、北朝鮮との外交など、複雑さを増している外交の状況であるが、田中氏の視座から学ぶべきところも多いのではないかと感じた。

◇二冊目

関幸彦著「〈幕府〉の発見」(講談社・1,870円)

書評の見出しは”武家権力 相対化した歴史観”とある。

書評には、幕府とは、天皇・朝廷に対して「範を超えない権力」たる「幕府」の概念であり、大政委任論という解釈だった、と述べている。そして、「調教された武家政権」の呼称であった、とも述べている。

徳川幕府も最後に「大政奉還」をして、幕府が終焉した。鎌倉幕府や室町幕府の時代は武家が血を血で洗う抗争の時代であったが、それでも政治を委任されていたのだ。その解釈は新鮮であった。今の日本の政治も、果たして誰から委任されて動いているのか。ゆっくり考えてみたい。

◇まとめ

今の日本の内政と外政は複雑さを増している。冬の夜長に本を開きながら、これから日本が進むべき道を考えてみたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA